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相続した実家を売る流れ|かかる費用・税金と3,000万円控除の条件

この記事でわかること
  • 相続した実家を売るまでの流れ
  • 売るときにかかる費用と、その目安
  • 税金のしくみと、空き家の3,000万円控除の条件
編集部
相続した実家は、名義を自分たちに変える(相続登記)ところから始まります。売れて利益が出たら、翌年に確定申告も必要です。全体の流れを先に知っておくと、あわてずに進められます。

売るまでの全体の流れ

相続した実家を売るときは、ふつうの家の売却の前に「相続の手続き」が入ります。おおまかな流れは次のとおりです。

STEP1
誰が相続するかを決める遺言書があるかを確認し、なければ相続人全員で遺産分割協議をして、実家を誰が受け継ぐかを決めます。
STEP2
相続登記をする登記簿の名義を、亡くなった親から相続した人に変えます。この登記をしないと売ることができません。
STEP3
家の中を片付ける家財や遺品を整理します。買取業者によっては、家財が残ったままでも引き取ってくれる場合があります。
STEP4
査定を受けて、売り方を決める不動産会社に査定を頼み、仲介で売るか、業者に買い取ってもらうかを決めます。
STEP5
売買契約と引き渡し買主と売買契約を結び、代金を受け取って家を引き渡します。
STEP6
翌年に確定申告をする売って利益(譲渡所得)が出た場合や、特例を使う場合は、売った翌年に確定申告をします。
ポイント相続した不動産を売るには、先に相続登記が必要です。法務省は、簡単な「相続人申告登記」だけでは売却や抵当権の設定はできないとしています。くわしくは相続登記の義務化の記事で解説しています。

仲介で売るか、買取で売るか

売り方は大きく2つあります。

売り方しくみ向いている人
仲介不動産会社に買主を探してもらう時間がかかっても、なるべく高く売りたい人
買取不動産会社が自分で買い取る早く手放したい人、古い家や家財が残っている家を売りたい人

出典:国土交通省の資料などをもとに編集部で整理。2026年10月14日に確認。

仲介で売るときは、不動産会社と「媒介契約」を結びます。媒介契約には「専属専任」「専任」「一般」の3種類があります。国土交通省によると、専属専任と専任の場合は、不動産会社に物件をレインズ(不動産会社どうしの物件情報システム)に登録することや、売主への定期的な報告が法律で義務付けられています。

買取とのくわしい違いは、空き家の買取の記事で解説しています。

売るときにかかる主な費用

費用内容・目安
相続登記の登録免許税固定資産税評価額などの「不動産の価額」の0.4%
司法書士への報酬相続登記を頼む場合。事務所によって違います
仲介手数料(上限)売買価格のうち200万円以下の部分は5%、200万円超400万円以下の部分は4%、400万円超の部分は3%(いずれも税抜)
印紙税(売買契約書)契約金額500万円超1,000万円以下で5千円、1,000万円超5,000万円以下で1万円(軽減措置。2027年3月31日までに作る契約書)
そのほか家財の片付け費用、解体費用、測量費用など。家の状態によって必要なものが変わります

出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」、国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」の改正資料。2026年10月14日に確認。

安い空き家は、仲介手数料の上限が別ルール

2024年7月1日から、売買価格が800万円以下の「低廉な空家等」については、仲介手数料の上限が最大33万円(税込)まで認められるようになりました。安い物件でも不動産会社が仲介を引き受けやすくするためのルールです。この上限を使うときは、媒介契約を結ぶ前に、不動産会社が売主に金額を説明して合意する必要があります。

出典:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」の改正資料。2026年10月14日に確認。

相続登記の登録免許税がかからない場合

国税庁と法務局によると、2027年3月31日までの登記で、不動産の価額が100万円以下の土地の相続登記などは、登録免許税がかからない免税措置があります。地方の安い土地を相続した場合は、対象になるか確認してみましょう。

売って利益が出たときの税金

実家を売って利益が出ると、「譲渡所得」として所得税と住民税がかかります。利益は次の式で計算します。

売った金額 −(取得費 + 譲渡費用)= 譲渡所得

  • 取得費:親がその家を買ったときの代金など。建物は年数に応じて価値を減らして計算します
  • 譲渡費用:仲介手数料や、売買契約書の印紙代など、売るために直接かかった費用
区分所有期間(売った年の1月1日時点)税率
長期譲渡所得5年を超える所得税15%・住民税5%
短期譲渡所得5年以下所得税30%・住民税9%

出典:国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」。このほか、所得税には復興特別所得税(所得税額の2.1%)がかかります。2026年10月14日に確認。

ポイント相続した家の所有期間は、親が買ったときから数えます。親が長く持っていた家なら、多くの場合は長期譲渡所得になります。また、親がいくらで買ったかわからないときは、売った金額の5%を取得費にできます。

出典:国税庁「No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」。2026年10月14日に確認。

空き家の3,000万円特別控除の条件

親がひとりで住んでいた家を相続して売る場合、条件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があります(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除)。国税庁が示す主な条件は次のとおりです。

主な条件内容
売る期間2016年4月1日から2027年12月31日までに売ること
売る期限相続が始まった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
建物1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家で、マンションなどの区分所有建物でないこと
住んでいた人相続の直前に、亡くなった人以外に住んでいた人がいなかったこと
売る前後の状態相続のときから売るときまで、人に貸したり住んだりしていないこと
耐震・取り壊し耐震基準を満たすようにリフォームするか、家を取り壊すこと(2024年1月1日以後の売却なら、売った年の翌年2月15日までに行えばよい)
売った金額1億円以下であること
控除額最高3,000万円。2024年1月1日以後の売却で、家と土地を相続した人が3人以上なら、1人あたり最高2,000万円

出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」。2026年10月14日に確認。

ほかにも、親や子など「特別な関係がある人」に売った場合は使えない、同じ相続財産で「取得費加算の特例」などを受けていないこと、といった条件があります。親が老人ホームに入っていた場合も、一定の条件を満たせば対象になります。

この特例を使うには、確定申告のときに、市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」などの書類が必要です。

注意特例を使えるかどうかは、家の状態や相続の内容によって変わります。条件の一つでも外れると使えません。売る前に、税理士や税務署に相談してください。

よくある質問

Q相続登記をしないまま売ることはできますか?
Aできません。登記簿の名義が亡くなった人のままでは、買主に名義を移せないためです。売る前に相続登記を済ませましょう。
Q兄弟で相続した実家を売るときは?
A誰が相続するか、売ったお金をどう分けるかを、先に兄弟で話し合っておきましょう。共有名義のまま売る場合の手続きは、司法書士や不動産会社に確認すると安心です。
Q利益が出なかった場合も確定申告は必要ですか?
A利益が出ていなければ、原則として譲渡所得の税金はかかりません。ただし3,000万円特別控除などの特例を使う場合は、確定申告が必要です。迷ったら税務署や税理士に確認しましょう。
Q古くて売れそうにない家はどうすればいいですか?
A買取業者に相談する、自治体の空き家バンクに登録する、といった方法があります。建物がない土地なら、条件を満たせば国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度を使える場合もあります。

古い家を放っておくと、税金や管理の負担が増えることがあります。くわしくは空き家を放置するリスクの記事をご覧ください。

このサイトについてしまいかた.com は情報提供のサイトです。税金や登記について、個別のご相談には対応していません。具体的な判断は、税理士・司法書士などの専門家に相談してください。

まとめ

相続した実家を売るには、まず相続登記が必要です。費用は登録免許税・仲介手数料・印紙税などがかかり、800万円以下の空き家は仲介手数料の上限が別ルールになります。利益が出たら翌年に確定申告をします。親がひとりで住んでいた古い家なら、2027年12月31日までの売却で3,000万円特別控除を使える場合があるので、売る前に税理士に相談しましょう。

参考:国税庁(空き家の特例)/国税庁(長期譲渡所得)/国税庁(相続した土地・建物の取得費)/国税庁(登録免許税)/国税庁(印紙税)/国土交通省(仲介手数料)/法務局(登録免許税の免税措置)/法務省(相続人申告登記)

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